ステロイド時代の終焉とマネーボール
2000年代のMLBを語るうえで欠かせないのがステロイド問題。
1990年代後半から続いたホームランブームは2001年にバリー・ボンズがMLB記録となる73本塁打を放ちピークを迎えた。しかしながらバルコスキャンダルでボンズがステロイドでドーピングしているという噂が立つと芋づる式に多くのメジャーリーガーが禁止薬物に手を出していたことが発覚。
2005年の公聴会ではクレメンスやカンセコ、マグワイヤ、ソーサといった球界を代表する大スターがドーピング疑惑で召喚され、野球ファンに大きな衝撃を与えた。
2006年には3回ドーピング検査に引っかかると事実上の永久追放となる三振ルールが設けられ、MLBからドーピングNGの姿勢が明確に打ち出された。
2000年代に入るとビリー・ビーンGMが出塁率を重視する「マネーボール」戦略で低予算でも常勝チームを築き上げ、のちにセオ・エプステインGM率いるレッドソックスを筆頭にデータ活用を重視するチームが増えはじめた。
また、2000年代はイチローのセンセーショナルな活躍で日本人野手の評価が向上。W松井や井口、福留と日本球界を代表する野手が次々とメジャーデビューを果たしていった。
All Decade Team 2000’s オーダー
キャッチャー:ジョー・マウアー
2009年 138試合 .365 191安打 28本塁打 96打点 4盗塁 fWAR8.3
キャッチャーはジョー・マウアーとホルへ・ポサダの一騎打ち。2000年代のfWARではポサダ(37)が正捕手として君臨していた期間が長かったこともありマウアー(28.5)を上回るが*1、キャリアハイのシーズンを比べるとマウアーの2009年には到底敵わない。MVPや殿堂入りのインパクトを踏まえ、今回はマウアーを選出した。
ファースト:アルバート・プホルス
2009年 160試合 .327 186安打 47本塁打 135打点 16盗塁 fWAR8.4
2000年代のファーストといえば打率4割に肉薄したトッド・ヘルトンも印象深いが、プホルスの10年連続の3割・30本塁打・100打点には敵わない。この企画では100人中100人がプホルスを選ぶのではないだろうか。
セカンド:チェイス・アトリー
2008年 159試合 .292 177安打 33本塁打 104打点 14盗塁 fWAR8.2
純粋な打撃成績だけ見ればチェイス・アトリー、ロビンソン・カノー、ジェフ・ケントの三つ巴だが、やはりアトリーの打ち立てた2005年から2009年にかけての平均fWAR7.2のインパクトにはカノーもケントも敵わない。
また、カノーはドーピング、ケントは最悪の人間性ゆえ将来の殿堂入りは絶望な一方、アトリーは2、3年内での殿堂入りが確実でそこもプラス要素だ。
サード:スコット・ローレン
2004年 142試合 .314 157安打 34本塁打 124打点 4盗塁 fWAR9.0
個人的に一番物議を醸しそうなのがこのローレン。純粋な打撃力ではA・ロッドに遠く及ばないが、今回の企画ではA・ロッドをショートとして選んだためサードの座が空席に*2。ローレンは歴代サードの中で最も守備が上手いと言われ、2004年にはサードとして歴代最高のDRSプラス30をマーク。バッティングもタイトル獲得こそないが、2004年には3割・30本塁打・100打点をクリアしている。
ショート:アレックス・ロドリゲス
2002年 162試合 .300 187安打 57本塁打 142打点 9盗塁 fWAR10.0
この企画では多くの有識者がA・ロッドをサード、ジーターをショートとして選んでいるが、個人的には守備力が重視されるショートにおいて歴代ワーストのDRSマイナス152を叩き出してしまったジーターを選ぶのはいかがなものかと思い、A・ロッドをショートとして選出。
ライト:イチロー
2004年 161試合 .372 262安打 8本塁打 60打点 36盗塁 fWAR7.1
そら(10年連続200本安打、ゴールドグラブ賞、2004年には歴代最多の262安打を記録)そうよ。
センター:カルロス・ベルトラン
2006年 140試合 .275 140安打 41本塁打 116打点 18盗塁 fWAR7.8
2000年代のセンターといえば、守備力の面ではアンドルー・ジョーンズとトリー・ハンターも捨てがたいが、総合力という観点ではベルトランの圧勝。キャリアハイとなる2006年には41本塁打とスイッチヒッターとして歴代最高のレベルのパワーに加え、ゴールドグラブ賞3回と守備力も◎。唯一の汚点はサイン盗みだが、これは2017年の話しで今回の企画としてはノーカウント。
レフト:バリー・ボンズ
2001年 151試合 .328 153安打 73本塁打 137打点 13盗塁 fWAR12.1
A・ロッドと並んで禁止薬物とは切り離すことができない選手だが、2001年に記録したMLB歴代1位のシーズン73本塁打、2004年の出塁率.609のインパクトに敵うレフトフィルダーは誰もいない。
DH:デビッド・オルティーズ
2006年 151試合 .287 160安打 54本塁打 137打点 1盗塁 fWAR5.3
ビッグ・パピに関してもアルバート・プホルス同様、100人中100人が選ぶレベル。
先発
先発投手のうち殿堂入りを果たしたランディ・ジョンソン、ペドロ・マルティネス、ロイ・ハラデイの3人は当確。2010年代と同じく残りふた枠を選ぶのは至難の業で、有識者の中でも意見が分かれる。
筆者はシリングとオズワルトを選んだが、理由としてはそれぞれ以下の通り。
・シリング:そもそも引退後に問題発言をしなければ間違いなく殿堂入りレベルの成績をマーク。ランディ・ジョンソンとのダブルエース体制でダイヤモンドバックスを世界一に導いたことや、レッドソックス時代の「血染めのストッキング」など大舞台での支配力も圧巻。
・オズワルト:サイ・ヤング賞には縁がなかったが、2000年代に137勝をマーク。他の候補者はシーズンによってムラがある中、オズワルトはメジャーデビューした2001年から一貫してアストロズのエースとして君臨し続けており、その安定感はかなりのプラスポイント。
なお、他の候補者としては、CC・サバシア、ヨハン・サンタナ、ティム・ハドソン、マイク・ムシーナ、マーク・バーリー、アンディ・ペティットブランドン・ウェブらがいる。
2002年 35試合 24勝5敗 防御率2.32 334奪三振 fWAR8.1
2000年 29試合 18勝6敗 防御率1.74 284奪三振 fWAR9.4
2003年 36登板 22勝7敗 防御率3.25 204奪三振 fWAR7.0
2002年 36登板 23勝7敗 防御率3.23 316奪三振 fWAR9.3
2005年 35登板 20勝12敗 防御率2.94 184奪三振 fWAR6.1
リリーフ
この10年間のセーブ数は1位リベラ(397セーブ)、2位ホフマン(363セーブ)とリリーフ投手のタイトル名になったレジェンドが独占。この2投手は1990年代も圧倒的な成績を残しており、1度選んだ選手は別の年度では選ばないというレギュレーションがなければ、1990年代と2000年代のリリーフ枠はこの2人で占められていたはず。
今回はホフマンを1990年代枠で選んだため、その空席に今年殿堂入りを果たしたワグナーが就く形となった。なお、ワグナーがどれだけ優れたリリーバーだったかについてはワグナーの記事で言及している。
2003年 74試合 1勝4敗 防御率1.78 105奪三振 44セーブ fWAR2.3
2005年 71登板 7勝4敗 防御率1.38 80奪三振 43セーブ fWAR2.9
ユニフォーム&チーム設定
パワナンバー 20700 50050 55744
※パワプロ2025でもダウンロードできます。
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