ノーラン・ライアン
NYM(1966,1968-1971)-CAL(1972-1979)-HOU(1980-1988)-TEX(1989-1993)
通算成績 807登板 324勝292敗 防御率3.19 5714奪三振 3セーブ fWAR106.7
獲得タイトル:最優秀防御率2回、最多奪三振11回
1989年 32登板 16勝10敗 防御率3.20 301奪三振 fWAR7.0
Ryan Express
160キロを超える豪速球を武器に歴代最多の5714奪三振を記録したMLB史上最高の奪三振王。
ライアンの特筆すべき点は通常の投手であれば衰えを隠せなくなる30代後半から40代半ばまで160キロ近い球速を維持したこと。46歳を迎えたラストイヤーの93年も最速155キロを計測している。
その裏にはピッチングコーチのトム・ハウス氏と二人三脚で作り上げた綿密なウェイトトレーニングプログラムの徹底があり、その詳細は書籍『ノーラン・ライアンのピッチャーズバイブル』で解説されている。
ライアンのベストイヤーはMLB新記録となるシーズン383奪三振をマークした1973年だが、30代半ばを過ぎた80年代も奪三振マシーンとして君臨。
39歳で迎えた1987年から4シーズン連続でリーグトップの三振を奪い、レンジャーズに移籍した89年には41歳にも関わらず301三振を記録している。
ライアンが40代でも奪三振の山を築けた要因はもちろん速球のスピードもあるが、それ以上にアストロズ時代の85年にサークルチェンジを習得したことで投球の幅が広がり、バッターが速球に山をはれなくなってしまったことが大きいと考えられる。
本人も書籍の中で「速球だけではメジャーはやっていけない。(中略)カーブとチェンジアップを覚えたことでただの“投げ屋”から“投手”になった」と語っている。
ライアンはMLB歴代最多となる7回のノーヒットノーランを達成していることでも有名。最後のノーヒットノーランは44歳のシーズンであり、これはノーヒットノーランの最年長記録でもある。
球種はパワーカーブ、サークルチェンジ。
ライアンのカーブは縦に曲がる12-6カーブだが、スピードは140キロと非常に速く、パワーカーブを採用。
また、チェンジアップはライアン本人は自信を持っていたようだが、キャリアを通しての被打率は.265と他の2球種と比べて高く、変化量は3にとどめた。
査定に関して
ドクターK
ライアンにこの金特は欠かせない。キャリア通算の奪三振率は9.55、今回作成した89年は11.32と当時としては驚異的な水準だった。
内角攻め
ライアンはかなりインコースに攻めることを意識しており、書籍の中で「内角攻めは攻撃的なピッチングの核になる。デッドボールや相手にケガをさせることを恐れてはいけない」と語っている。
ナチュラルシュート
ライアンの速球はハイライト動画などでもかなりシュート回転しており、書籍『球速の正体』でもライアンは「伸びシュート系」に分類されると言及されていた。
荒れ球
ライアンのためにあるような赤青特。ライアンはコントロールに難があり、キャリア通算の暴投数277はMLB記録。89年もリーグ最多の19暴投を記録している。
四球
ライアンは晩年こそは若干改善傾向が見られたが、基本的にノーコンであり、MLB記録の通算2795四球を与えてしまっている。
寸前
89年は9回になると防御率8.31とバテており、スタミナは年齢に抗えなかった模様。
Nishiのこぼれ話
ライアンのトレーニングの詳細や野球論について書かれた『ノーラン・ライアンのピッチャーズバイブル』のレビューを書いています。気になる方はこちらから