フェリックス・ヘルナンデス
SEA(2005-2019)
通算成績 419試合 169勝136敗 防御率3.42 2524奪三振 fWAR54.0
獲得タイトル:最多勝利1回、最優秀防御率2回、サイ・ヤング賞1回
2010年 34試合 13勝12敗 防御率2.27 232奪三振 fWAR6.7
キング・フェリックス
マリナーズ一筋15年、球団記録となる169勝・2524奪三振を記録したキングことフェリックス・ヘルナンデス。
メジャー3年目の2007年に弱冠21歳で14勝をマーク。そこから2016年までの10シーズンにわたってマリナーズの絶対的エースとして君臨し、この期間に積み上げたrWARは47.2にのぼる。
特に2010年にはリーグ最高の防御率2.27を記録。13勝12敗と勝ち星には恵まれなかったが、サイ・ヤング賞のタイトルに輝いている。
また、2012年にはMLB史上23人目となる完全試合を達成。2014年にはキャリアハイかつリーグトップの防御率2.14を記録し、サイ・ヤング賞投票では2位にノミネートされた。
ところが、30歳に突入した2016年以降は打ち込まれる展開が目立ち、2018年には防御率5.55にまで転落。
成績悪化の原因は速球のスピードダウン。全盛期の2010年ごろまでは先発投手としてはトップクラスとなる平均球速151キロを誇っていたが、そこから毎年のようにスピードを落とし、2018年には143キロを下回ってしまった。
2019年にマリナーズとの契約を満了してからは、200勝・3000奪三振のマイルストーン到達を目指してブレーブス、オリオールズとマイナー契約を結んだものの右肘の故障で投げることはできず事実上33歳の若さで現役引退となった。
ヘルナンデスの全盛期は殿堂入りクラスのピッチングだったが、事実上30歳からは数字を積むことができず、個人的には殿堂入りは絶望的と思っていたが、途中経過ではあるが有資格1年目の段階で25%前後の得票を獲得。
これは先発投手の起用法が大きく変わった現状を考えると200勝、3000奪三振というマイルストーンに到達するピッチャーがいなくなる可能性があり、ヘルナンデスという前例をつくることで現役先発投手に殿堂入りの道を切り拓くという意味合いで投票する記者がいるからと考えられる。
球種はツーシーム、スライダー、カーブ、スプリットチェンジ。
スプリットチェンジは画像のようにサークルチェンジをベースにしたオリ変で再現。
ヘルナンデスの決め球であるスプリットチェンジは140キロ中盤のスピードで落ちる魔球であり、2010年は被打率.159とほとんど打たれなかった。
ちなみにスプリットチェンジの名手といえばザック・グレインキーを思い浮かべる方も多いが、グレインキーはフェリックス・ヘルナンデスのスプリットチェンジを参考にチェンジアップを高速化させたという逸話がある。
査定に関して
ゴロピッチャー
全盛期のヘルナンデスは内野ゴロを打たせるピッチングを意識しており、2007年はGB%60.8を記録。
速球中心
晩年はチェンジアップ中心のピッチングをしていたが、2011年までは速球系だけで投球の6割強を占めていた。ヘルナンデスは速球に自信を持っていたが、デビュー当時マリナーズの正捕手を務めていた城島は変化球を求めることが多く、「城島のリードは認めない」と話すなど相性はかなり悪かった。
Nishiのひとりごと
フェリックス・ヘルナンデスは筆者がMLBを本格的に見始めたころのマリナーズのエースということでかなり気に入っているピッチャー。特に140キロ台で落ちるチェンジアップを見た時は、こんなの打てるわけないじゃんと呆気にとられたのをよく覚えています。